料理人、調理師1年目の生活について【給与、年収、仕事内容、労働時間など】

料理人、調理師1年目の当時の生活を現役料理長の筆者が経験談で語っていきます。
思い出しながら書いていきますので実際の仕事内容が気になる方は参考にしていただければと思います。

料理人、調理師1年目の生活について

1年目はホールからスタート!

まず筆者が新卒で入社したレストラン(マチバ)は国内でもいわゆる老舗のフランス料理店になります。

今ではほとんどないかもしれませんが、当時は料理人希望であってもホールスタッフを経験し認められなければキッチンに入ることができませんでした。
キッチンに入れる条件は最低でも1年ホールを経験し、料理長に認められれば入れます。
ちなみに2年以上ホールを経験してもキッチンに入れなく辞めていった先輩もいますので、キッチンに入るためにはそれなりのアピールしていく必要があります。

ということで1年目の経験談は料理人としてではなくホールスタッフとして語っていきます。

 

ICHI
筆者が厨房に入るのは2年目からになりますのでその頃の経験談はまた今後の記事にします。
ちなみに飲食業でホール業務をやるメリットはとても多くあるので参考にしてください。

料理人(ホール)1年目の給与、年収、労働時間

月給17万+交通費
手取り約15万(2年目以降から住民税が入るため14万5千円になる)

年収約210万

休日月6日
年間休日数80日(夏季休暇4日、冬期休暇4日)
ただし夏季休暇と冬期休暇は片方が取れればラッキーくらいなので実際は年間72日~76日程度でした

月間労働時間約300~350時間(拘束時間は350時間いきます)
朝9時半出勤~大体は23時半か24時(最初の3か月はほとんど終電)
うち休憩1~1.5時間
ホールの方が拘束時間は長いです

おそらくレストラン業態であればこういった状況のお店は今でも多いのではないでしょうか。
それと、最初は終電の時間をチェックしておかないと帰れなくなったりしますので事前に上司から調べるように注意を受けます。
お店に泊まることは筆者は今まで経験していません。(経験している人はわずかながらいたりしますが、、、)

1ヵ月で同期が半分辞める

筆者の同期は20~30人(記憶があやふや)程度いましたが最初の1ヵ月で半分はやめていた記憶があります。
同期間でコミュニケーションは取っていたので情報がすぐに回ってきます。

この辺りはまぁ、同期の中でもすぐに辞めそうな人は大体想像がつくものです。

ちなみに1年すると1/3はいなくなります
3年経つと同期は全員辞め、残っていたのは筆者1人だけでした。

通勤時間は極力なくさないとキツイ

ただでさえ拘束時間が長いですからほとんどの従業員はお店から近いところに住んでいます。
筆者も20分圏内に住むことにし、通勤時間分かなり楽にはなりました。

金銭的には厳しくなりますが働くと覚悟を決めたら近くに引っ越した方が日々少しは楽にはなります

 

料理人、調理師(ホール)1年目の仕事内容

朝はフロアの清掃、ランチ営業のスタンバイ

先輩よりも早く出勤するのは基本になるため1年目の人が一番早く出勤することになります。
これは厨房でも同じです。

まず出勤したらフロアの清掃から入ります。
この辺りはお店によって様々でしょうが基本的には最後に先輩が細かいところまでチェックしてきますので目に見える埃などは絶対に残さないようにします。

特にトイレ掃除は一番綺麗にしておく場所になりますので角の隅々まで、鏡は一滴の水滴や垢もないように綺麗にするのが基本になります。
正直1日で嫌になる人の方が多い作業です。

他には細かい営業の準備が入り、ランチ営業までに間に合うようにスタンバイします。

 

ランチ営業中は先輩のサポート

ランチ営業中は基本的には先輩の指示に従いサポートしていきます。
お皿の下げ物があれば下げる、持ってきてほしいものがあれば持っていくなどです。

最初は料理提供などはできませんが、先輩の指示通りできれば早い段階で簡単な料理提供や接客はやれるようになります。
キッチンに入るとわかりますが、ホールは全体を通して行動範囲が広いため動く量が多いです。
厨房とホールの行き来だけでもかなりの運動量になります。

ランチ営業後は洗い物

ランチ営業がひと段落したら、洗い物とシルバーやグラスの拭き上げをします。
ちなみにこの時間はキッチンでは賄いを食べている時間ですが、ホールは時間差で食べることになります。
(レストランにもよりますがキッチンスタッフより先に賄いを食べることはご法度です)

ホールにいる先輩やスタッフはお客がいなくなり次第そのままフロアを綺麗にしたりディナーに向けて準備をしてくれます。
ここら辺は分業です。

また場所によってはアイドルタイムに全スタッフで賄いを食べるところもありますね。
最近はそもそも賄いがないレストランも多いですが、、、

片付けが終わり次第、賄いと休憩が入ります。

ホールの休憩時間は1時間~1.5時間

基本的には平日は食べる時間を含めて1.5時間、長い時で2時間の休憩はありました。
土日はさすがに1時間あればよいかなくらいです。
ホールは性質上、拘束時間がキッチンよりも長くなるので休憩時間はしっかりと取れます。

ちなみにキッチンは常時1時間あるかないかくらいです。(仕込みの量によります)

 

ディナー営業のスタンバイ

ディナー営業のスタンバイも基本的にはランチ前と同じです。
ただ、ディナーは少し変わった演出をすることが多いので小物の準備が多くなったりします。
納品物(ワイン、消耗品等)がある場合は片づけます。

ちなみに納品や片づけは進んでやった方がよいです。
その方がお店のどこに何があるのかがわかるので忙しくなっても困りません。

営業時間中の先輩への質問は忙しい時は特に厳しいです。
雑用をやりながらお店のどこに何があるのかを把握してるだけでかなり違いますし、進んで雑用をやることで先輩からの信頼度も上がるので一石二鳥と考えてください。

 

ディナー営業後は片づけ

基本的にはランチ営業後と同じく洗い物と拭き上げ、それぞれの締め作業にはいります。
夜の段階で翌日のスタンバイできるところはどんどん進めていきます。

ちなみにお客がいる間は帰れませんが、お客が早く帰れば片づけさえ終わればスタッフも帰れる状態にはなります。
お客として飲食店で閉店間際までいると少々ざわついてくるようなレストランがあるのはスタッフが早く帰りたいと思っているためです。

ホールスタッフは終電が早い人は毎日終電になる確率が高くなりますし、家が近い人は遅くまで働くことになります。
この辺りはレストランのラストオーダーと閉店時間によると思います。

それと、先輩や上司が仕事をしていると帰りにくい雰囲気は確かにあります。

キッチンはラストオーダーが終わって厨房の清掃が終わったら帰れますので終電になることはほとんどないです。

こうして1日の業務は終わります。

 

料理人でもレストランでホールを経験するメリット

最終的にはお店全体の流れを全て把握できる

最終的にはお店全体の流れが全て把握できるようになります
例えば厨房で料理しか作ることができなければ、その料理がどうやってお客にだされ、どう食べられているのか、どういったお客が来ているかなど見ることはできません。
(カウンターキッチンは除く)
ホールだけしかできなければ料理がどう作られているのかも実際にはわかりません。

実際の経験値として得るものと、見ただけの物では全く価値が異なります

また、その後ステップアップで料理長を目指すのならば飲食業のことについては特に詳しくなっている必要があります。
全体の流れが分かっていると、どういったメニュー構成でどういった料理が食べやすいのか等もわかってきます。

 

キッチンよりはホールの方が厳しくない

こういう言い方をすると語弊がありますが、ホールとキッチンの厳しさを比較するとホールが2でキッチンは10くらいの差があります。(10点満点)
もちろんホールも厳しいですが、人間的な意味で料理人の方が厳しい場合が多いということです。

これは職場によっても変わると思いますが、基本的にレストランは料理人(キッチン)の方が権力が強いため厳しさに差が出てきます。

 

ホールとキッチンの対立が少なくなる

レストランではホールとキッチンが対立(仲が悪い)しているところが多いです
(筆者のレストランではホール上がりの料理人が多いため基本的に仲は良かった)

そういった意味では料理人がホールを経験することで理解を深めることができるので対立はほとんどなくなります
逆に料理人を経験しているホールスタッフはほとんどいないため、もしそういった人がいれば希少価値は高いと思います。

お互いがお互いの仕事や気持ちを理解できれば対立構造は解消されやすくなるため、従業員同士の気遣いは必要です。
そのためにはやはり見るだけでなく実際の経験】が必要だということです。

 

芸能人に会える

筆者の勤めていたレストランでは芸能人、有名人の方がかなりの頻度で来ます
そのため2週間に1回程度は誰かしら見ることができていたと思います。

接客もできますので普通に会話することもできます。
そういった意味ではレストランにもよりますが普段絶対に会えないような人に会える機会は多くありました。

また、テレビの収録や打ち合わせ利用などでも多く来店されるのでなかなか見れない光景が広がってきます。

稀に当日が記念日とかだと従業員も一緒に写真を撮らせていただけるので記念にもなります。

 

常連のお客ができる

お客が名前を覚えてくれてその後、常連になってくれる人もでてきます
通常は支配人(ホールの責任者)が多く常連のお客を持っていますが、新人でもしっかりとサービスをすると名前を覚えてもらえて来店した際は呼んでもらえます。

この人がいるからこの店に来る、というのはとてもうれしいものです。

実際、筆者はホール時代に2組ほどお世話になったお客さんがいて、2年目以降厨房に入った際も来店した際は呼んでくれました。
今までサービスしていたお客さんに自分の作った料理を食べてもらえることはこれ以上ないやりがいを感じます。

 

他にもメリットは多数

他にも飲食業で働いていくうえで必要なことはホールで多く学べます。
接客というのは【対人】になるので経験でしか得られないことが多くあり、【人を見る目】も養うことができます

このお客さんは今何を求めているのか、どう対応するのがいいかなどは人によって様々であるため接客業の経験は必ずどこかで役に立ちます。
料理の世界だけで考えるととても閉鎖的になってしまいますので、全体を見渡せる視野を持つことも将来的にはとても大きなメリットになります。

 

若いうちはお金よりも技術を得ることに集中する

お金は後からついてくる

正直言って【お金】だけ見たら100%割には合いません
また、長時間労働のため休みの日は全力で休まないとその後の仕事が持ちません。

筆者自身は料理人を目指す年齢は何歳からでも問題はないと思います。
しかし、現実としてしっかりと下積みをする場合は相当な体力が必要になってくるため20代と30代ではやはり差が出てきます。
若ければ若いほど、覚えることの吸収率が高いのは事実です

私も当時の生活を今できるかというとかなりしんどいと思っています。。。

そのため若くて体が動くうちはひたすら自分の能力を高めることに集中するのがいいです。
できることが増えるとお金は後からついてくるようになります。

 

自分で得た知識や経験、技術というのは絶対に誰にも奪われることはない

自分で得た経験、技術というのは絶対に誰にも奪われることはないです。
それは、全て自分の【もの】になります。

逆に人の経験や技術を盗むこともできません。

言い換えれば、どんなことも自分の経験や技術になりえるということです。

洗い物、掃除、その他雑用からも得られるものはたくさんあります。
人のやりたがらない仕事でも何かを得ようと思えば、辛い仕事も自分のためだと思って乗り越えられるかもしれません。

全ての作業について自分なりに考えることができるようになると、仕事の本質を見抜くヒントになると思っています。

若いうちはとにかく【自分を高めること】が後々の人生を豊かにしてくれます

 

まとめ

 

  • 低賃金、長時間労働は覚悟しておく
  • 通勤時間はできるだけ短くした方が少し楽になる
  • 料理人1年目はホールからスタートするレストランもある(今はほとんどないと思いますが)
  • 料理人でもホールを経験するメリットは多くある
  • 若いうちはお金よりも自分を高めることに集中する(お金は後からついてくる)

 

ICHI
いかがだったでしょうか。
正直楽な道とは絶対に言えませんが、この環境を乗り越えた時、自分の自信にもなっているはずです。
筆者自身はホールを経験して本当に良かったと思っていますし、今でも役に立っています。
広い視野を持てるに越したことはありませんので興味のある方は是非参考にしてください。
次回からは厨房(キッチン)からのお話になります。