飲食業界のリアルな現状について
飲食業界は、コロナ禍からの回復に向けて様々な取り組みを行っていますが、まだまだ厳しい状況にあります。
まず現状の飲食業界が抱える問題などリアルな現場視点からお伝えしていきます。
飲食業界の問題点
- エネルギー価格上昇(主に電気代、ガス代の上昇)
- 原材料費高騰(材料費、容器、消耗品など)
- 人手不足
- その他の外的、内的要因
まずは簡単に上記のような問題点がすぐに上がってくるのではないでしょうか。
そもそも①エネルギー価格上昇などの外的要因やそれに伴っての②原材料費高騰などは個人がどうやっても改善することはできません。
まずはなぜこのような状況になっているのか、今後はどうなっていくのかを把握しておくことが大事になります。
①エネルギー価格上昇(主に電気代、ガス代の上昇)
電気やガスなどのエネルギー価格が急激に上昇しています。
この理由は明確で主にロシア、ウクライナ戦争があげられます。
2020年と比べて2023年には電気料金は約50%(1.5倍)に値上げしています。(今後さらに上がる模様)
そして、飲食店の1年間で一番電力(電気代)を使うのは7~9月の夏場です。
夏場は空調(エアコン)を常時使用しますので特別な理由がない限りはほとんどの飲食店はこの夏場が一番光熱費の値段が高くなります。
また6月から電気料金については全国的に平均+20%になり、10月からは日本政府の補助がなくなります。
つまり、2023年6月使用分から約20%値上げ、さらに2023年10月使用分から政府補助がなくなりさらに値上げ。
という事実が待っています。
細かく言うと2023年9月使用分は補助金が半額されるので実質2023年9月使用分(10月請求)からさらに値上げと考えた方がよいです。
ガス代に関しては電気料金程の値上げ幅ではないですが、こちらも値上げされています。
まずはこの現状を把握しておきましょう。
エネルギー価格上昇(主に電気代、ガス代の上昇)への対策
- 節電という名目で空調温度を調節する。(やりすぎると危険)
- 開け閉め回数の多い冷蔵庫に氷をたっぷり入れた容器を入れ、冷却効果を補助する。
- 給湯器の設定温度を可能な限り下げる。
どの業態のお店でもすぐに取り掛かれて効果が出やすいのが上記3つです。
それと、光熱費削減でスタッフにとても負担のかかる行為を強いるのはお勧めしません。
仮に費用対効果の高い場合は考えた方が良いですが、スタッフに新たな仕事を増やしてまで節約するようなことは本当に意味があるのかを考えましょう。
①節電という名目で空調温度を調節する
発電システム供給制約のため昨今節電という言葉が要請されるようになりました。
良くも悪くも今までは空調が効いていないと即クレームやピリピリしてしまうような状況ではありましたが、「節電」という名目で空調温度を調整することが可能となり、スタッフもお客も我慢するという行動がとられるようになりました。
この状況が良いか悪いかは別として、空調温度を調節するはかなり効果のある光熱費節約術です。
やりすぎるとスタッフやお客さんにストレスや負担がかかってかえって生産性を下げることになりますので、いいバランスを見つけましょう。
②開け閉め回数の多い冷蔵庫に氷をたっぷり入れた容器を入れ、冷却効果を補助する。
①の空調を調整するという事は必然的に厨房内はさらに熱くなります。
また、夏場は冷蔵庫、冷凍庫が壊れやすく、絶対に必要なタイミングで壊れることは良くあります。
ただでさえ熱い厨房内でしかも頻繁に開け閉めするような冷蔵庫はかなり負荷がかかりますし、壊れやすくもなります。
一度調子が悪くなってしまったら業者に修理を依頼したりと、別途費用がかかって何のために他のところで節約してるのか意味が分からなくなります。
そのためお勧めなのが頻繁に開け閉めする冷蔵庫には氷をたっぷり入れた容器を入れ、冷却効果を補助することです。
そんなスペースなく食材でぎゅうぎゅうといった冷蔵庫も多いと思いますが、故障してからでは遅いので整理してやってほしいところです。
あくまで開け閉めの多い冷蔵庫に限定していますので、そこまで冷蔵庫を酷使しないような現場でしたら問題ないと思います。
氷が解けてしまったら新しく入れ替えましょう。
もちろん氷ではなく、大きめの保冷剤をいくつも使う、といったことで工夫しても良いと思います。
個人的にここは費用対効果がとても高いポイントです。
毎年夏場は冷蔵庫の不具合が出るといった現場でもこの方法を入れてから冷蔵庫が故障したというのは聞いたことがありません。
冷凍庫に関しては強制はしなくて良いと思いますが、何となくの意識として冷凍庫の扉は全開せず開け閉めは素早く、この辺りは意識すると良いと思います。
とにかく設備を故障させないということも頭にいれておきましょう。
③給湯器の設定温度を可能な限り下げる
ガス使用量の半分以上を占めるのが実はこの給湯器になります。
厨房設備によっては7~9割は給湯器が占めているという場所もありますのでこの給湯器の設定温度を下げることでかなりのガス削減効果が見込まれます。
ガス台のガスやガスオーブンの使用量をこまめに減らすといったことをするより、給湯器の温度設定を下げる方が圧倒的に費用対効果が高いのでオススメです。
特に夏場は設定温度が最低温度とかでも全然問題ないです。(35~37℃くらい)
②原材料費高騰(材料費、容器、消耗品など)
エネルギー価格が上昇しているという事は全産業のコストが上がっているという事です。
上記のことがわかるデータとして【企業物価指数】というのがありますが、常に右肩上がりになっています。
この辺りは一般的にできる対応策はほとんどないです。
メニュー数を絞る、使用している消耗品の数を絞るなど、自店舗でできる工夫をするしかありません。
メニュー価格は無理に据え置かず、必ず上げていきましょう。
③人手不足
飲食やサービス業で働いている方はみんな感じているのがこの人手不足です。
元々飲食業はコロナ前から人手不足の業種でしたが、近年さらに加速しています。
まず第一に良い人材、良い人はもう来ないと思ってください。
極端に言いましたが、そもそも企業側が人材を選べるような職場環境や企業形態であればそもそも人手不足になっていないはずです。
そのため、深刻な人手不足、または良い人がいない、採用してもすぐ人が辞める、といったお店は、店側に何か問題があると思ってください。
人手不足対策
- 給与や待遇の改善
- 労働時間や休日の見直し
- とにかく働きやすい環境作り、人間関係など
- 採用方法や広報活動の工夫
- 人がいなくてもお店が回るオペレーションにする
上記のようなことは取り掛かられている企業が多く感じますが、現場で働いている方は職場環境を変えるのになかなか苦労しているようにも思います。
昔から同じペース、同じ仕事のクオリティ、というのは一度どこかにおいて、まずはその仕事が本当に必要なのか?お客さんにそのこだわりは伝わっているのか?スタッフに過度な労働を強いてないか?この辺りはしっかりと考えて人手不足を補っていきましょう。
まとめ
- エネルギー価格上昇への対策→空調温度の調節、開閉回数の多い冷蔵庫にたっぷり氷、給湯器の設定温度を極限に下げる
- 原材料高騰対策→メニューを見直す、消耗品の使用品目を減らす、価格を上げる
- 人手不足対策→給与、休日、人間関係等、とにかく働きやすい環境を作る、人がいなくても回るオペレーションにする
- その他、お店、企業の問題点を考える