現役の料理長である筆者が経験を元に考えてみました。
厳しい環境の原因を大きく分けて3つの要素で考えてみる
- お金、待遇→給料、年収が低い
- 労働時間→長時間労働
- 人間関係→料理長、先輩、同僚など
①【お金】待遇面の悪さ
一般的に低賃金といわれている飲食業(サービス業全般)ですが、なぜ低賃金なのでしょうか?
理由は売上高と利益率の低さ(生産性の低さ)にあります。
労働に対しての対価がとても低いのです。
ざっくり説明しますと。。。
給与の源は売上からきています。
そのため売上高の低い企業はどうしてもそれ以上給与に反映されません。
個人経営で毎月の売上がずっと200万円であればこの200万円からやりくりをするため、5年働こうが、10年働こうが給与が変わることないです。
(自分の手取りを減らして従業員に還元するオーナーがいれば話は別)
つまり、毎月の給与を増やすには売上を高くするか、経費を削減するしかありません。
これには従業員ではほとんどどうにもならないため、経営陣や料理長、オーナーの手腕にかかってしまいます。
特に上場企業は株式上場するために一定の条件を満たしている必要があるため安定している企業の確率が高く、結果収入は良くなります。
もちろん店主や企業によって考え方は違いますが、確率的にそうなりやすいという話です。
②【労働時間】なぜ長時間労働なのか?
飲食業は基本的に[待ち]の営業スタイルです。
基本的に商品を持って売っていけるような業態でもなければ、インターネットで販売もできません。
お客に直接お店に来てもらわないといけません。
そのため、多くの売上を上げるにはお店の営業時間を長くする必要があると多くの人は考えてしまいます。
現実に営業時間を少しでも長くすれば売上が上がると単純に考えている経営者は多数います。(飲食業界は考えが古いです)
逆に言うと毎日ずっと予約でいっぱいで売上が確実に取れるようなお店であればこの問題は改善できる可能性があります。
多くの従業員を雇って交代制で勤務させ、1人当たりの労働時間を短くすることはできないのか?
こう考える人もいるでしょう。
売上高が高く、いわゆる繁盛店ならこの形態は可能かもしれません。
しかし、大多数の飲食店は決まった売上のパイの中から給与として分配されていきます。
その余裕が個人店や中小企業にあるのかと言われればまず難しいでしょう。
そのため、売上を少しでも上げるため営業時間を長くし、それが結果として長時間労働を生んでしまう原因となっています。
そして長時間労働分の対価が得られずに、必然的に低賃金になります。
(営業時間を長くすれば必ず売上が上がるわけではないため)
飲食業は長時間労働が当たり前という風潮
これは業界内で常識として植え付けられ「長時間働いている者は頑張っている、凄い」という根拠のない理論まで繰り広げる人もいます。
また「自分の時代ではもっと働いていた」などと比較しそれを押し付けてくる人もいるでしょう。
こういった感情的で抽象的なことが一般化してしまうことによって、長時間労働が当たり前という風潮が蔓延しているのも事実です。
③【人間関係】怒られる?暴力は?
一番重要なのはこの【人間関係】です。
これに関しては運としか言いようがありません。
ほとんどはお店で働かないとどんな人がいるのか?なんてわかりません。
そして人間には必ず合う合わないがあります。
こればかりは運ですが、その職場だけが全てではありません。
暴力は振るわれるのか?
実際にあります。
具体的には殴ったり、胸ぐらをつかんだり、蹴ったり、包丁で脅してきたり。
ただ全員が標的になるわけではなく、殴られやすい、怒られやすいタイプがいるということです。
実際に筆者は怒られたことはありますが、暴力を振るわれたことは1度もありません。
ただ、全く同じ環境でも殴られている同期や先輩はいます。
原因はいわゆる仕事ができない、というレッテルが貼られてしまうと標的にされてしまいます。
暴力は絶対にダメ!
そういった被害にあう確率を少しでも低くできる就職先は大企業が運営するレストランです。
その理由は大企業の場合、経営陣と料理人を分断している場合が多いからです。
経営陣は料理人上がりではない場合が多く、もし仮に店舗でスタッフの暴行が発覚したらその店舗の料理長は即解雇になります。
これはどんなスーパーシェフであっても例外はありません。
仮に経営陣が現場上がりの場合、発覚してももみ消されてしまう可能性があります。
近年は暴力を振るう人はかなり少なくなってきていますが、不安な方は規模の大きな会社で働きましょう。
殴られる側にも問題があるという意見もあるかもしれませんが、感情的な解決や恐怖で縛るような職場環境は健全とは言えません。
低賃金、長時間労働、人間関係が退職理由の9割以上
この3つの要素でほとんどは離職します。
逆に本心からステップアップで辞めていく人は限りなく少ないでしょう。
確かに業界内ではこれが当たり前という風潮や、飲食業はこういうもの、と言ってしまえばそれまでとなってしまいます。
人間はどうしてもできるだけ楽をしたい生き物です。
そのため自ら厳しいとわかっている環境に行こうと思う人は少ないはずです。
単純に飲食業を【仕事】として捉えて働いていく場合は続けていくのが困難かもしれません。
【仕事】ではありますがそこにプラスして自分の考えが1つでも乗らないとなかなか乗り越えていけません。
所謂【やりがい】というものです。
ただ何となくやってみようという考えではやはり現実的に難しいのです。
古い考えは変えることはできる
今は徐々に世代交代をしてきて、以前のような体育会系な考え方をする人も少なくなってきたように思います。
もちろんまだまだ現役と呼ばれる料理人や飲食業の上層部は40代~50代が多いため、偏っている人はいます。
変えることができる力を身に着けた人が多くなった時に、飲食業での働き方も変わっていくと思います。
筆者も飲食業に興味を持ってくれる人を増やすため、今後とも色々な情報を発信していきます。
まとめ
- 飲食業は控えめに言っても厳しい環境!
- 人間関係は【運】
- 低賃金、長時間労働、人間関係が退職理由の9割以上
- まずはインターネットで情報収集!
しかし、実はそれ以上のメリットもあります。
今後は良いところも語っていきますのでご安心ください。